· 

【パチ屋で特別な男になった日】


もうだめだ。

全く勝てない。

 

二度と打ちたくない。

全てをやりなおしたい。

 

悔しくて店内を裸足で歩いた。

靴はきちんとロッカーにしまった。

 

店内を裸足で歩いている人は、もちろん誰一人としていない。

 

出玉では特別な男になれなかったが、

このような形で特別な男になれた。

 

とはいえ、裸足での店内は、

想像以上に足の裏がひんやりとして気持ち良い。

 

癖になりそうだ。

 

店員様やお客様がみんな僕を振り返る。

 

「もっと僕を見てくれ」。

 

そんな気持ちにすらなった。

 

もちろん、裸足で店内を歩く事は禁止されていないし、

誰の迷惑もかけていない。

 

しかしながら、裸足のままパチンコのシマを2周ほどしたところで、

角台のおばちゃんが後ろに積んでるドル箱に小指をぶつけた。

 

靴ではなく裸足だったからか、ドル箱はびくりともしなかったが、

僕の小指はすこぶる悲鳴を上げた。

 

その場で座り込んで小指を引っ張り、フゥフゥした。

そして、その時に僕はある事を悟った。

 

大負けした心の痛みは、

物理的な痛みで少し和らぐを。

 

そんな先日のお話。

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    クロ (土曜日, 26 11月 2022 06:08)

    悲哀の中に笑いがあるパチンカス劇場をありがとうございます。
    自作も楽しみ。

  • #2

    リゼロ大好き (土曜日, 26 11月 2022 07:21)

    さすがにネタですよねw
    ただ、想像したらニヤニヤが止まりません(*^▽^*)
    また楽しみにしてます♪