「1000円でどっちがジャグラーをたくさん回せるか勝負しよう」
工場から駅に帰る途中の送迎バスの中で、木村が突然僕にそんな勝負を申し出てきた。
どっちがたくさん回せるかの勝負なんて初めてだった僕は、
「先にどっちがペカるかの勝負で良いんじゃないかな?」
そう木村に提案したものの、
おでんのつゆからすくいあげた
“がんもどき”のような顔で、
「いいや!1000円でたくさん回せた方が勝ち。負けた方は罰ゲームで夜飯を勝った方に奢る勝負!」
そう断固譲る気配のない口調で僕に言ってきた。
なので、
「それならばそれで勝負しよう!」
とバスを降りてすぐの戦場となるホールへ。
僕が選んだ機種は125番台の130Gヤメの
「ファンキージャグラー」。
木村が選んだ機種は127番台の430Gヤメの
「ファンキージャグラー」。
「いやいや、せっかくなんだから隣同士で勝負した方がいいでしょ?」
と、駆け寄る僕に、
「いや、隣だと勝負に集中できない」
と、真剣な表情の木村。
たかが500円程度の夜飯代勝負にそんなに熱くなるなんて・・・
と思いつつも、台に戻ってから木村の方にチラッと目をやると
ゴクリと生唾を飲んだのがあからさまに分かった。
確実に油の乗った肉を食う想像をしている。
仮に負けた時の為に夜飯代の上限を確認した方が良いだろうか。
そうこう考えていたら、木村が1G回し始めてしまった。
そして、すぐに僕の方に駆け寄って来てこう言った。
「間違えて1枚掛けしたら、ゲーム数がカウントされなかったから、最終結果はデータ表示G数の+1Gで宜しく」
思わず、
「回転数稼ぐためにわざとやったでしょ!?今回はいいけど、次からは自己責任ね!」
と言い放ち、僕も回し始めた。
途中、木村がイカサマしてないか横目で確認してみると
勝つ為の執念というべきなのだろうか、
毎ゲームベルを力強くビタ押ししながら、
足元にメダルが落ちてないかを確認するチンパンジーみたいな木村の姿があった。
結果、
木村の台が1000円で「29G」。
僕の台が「23G」でバケ。
29対23で木村の勝利という理不尽な審判が下され、
僕が2000円のとんかつを奢る事になったというやるせないお話。
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たけし (月曜日, 01 1月 2024 22:00)
久々に見に来たけど、めちゃ笑いました�
ブログ更新楽しみにしてます!